• 「スミフル」バナナはいいバナナ?

    ~日系バナナ企業による生産現場の真実~

  • 「スミフル」とは

    日本の住友商事株式会社が出資するバナナ事業者で旧名称は「住商フルーツ」。現在の本社はシンガポールにあり、日本でブランド展開する「スミフル・ジャパン」と現地農園運営事業者「スミフル・フィリピン」はその子会社にあたります。

    日本に入ってくるバナナのおよそ1/3のシェアを持つNo. 1ブランドです。

    「甘熟王」、「熟撰美味しいバナナ」、「スミフルバナナ」など人気ブランドを展開しているほか、プライベートブランドへの提供も行っています。

     

    <スミフル・ジャパン概要>

    設立:2016 年2 月1 日
    代表者:代表取締役社長 伊藤順次
    資本金:3 億円
    売上高:452 億円(2016 年3 月期)
    本社:〒151-0071 東京都渋谷区本町3-12-1
        住友不動産西新宿ビル6 号館17 階

    https://www.sumifru.co.jp/

    スミフル・ブランド・ロゴ

  • 現場から告発されている問題

    「スミフル」は日本の住友商事株式会社も出資するバナナ事業者です。日本では「甘熟王」などの名称でブランド展開を行なっています。同社はフィリピン・ミンダナオ島で12000ヘクタールの農地を管理し、キャベンディッシュ種のバナナを生産するほかパイナップルやパパイヤの生産・輸出に関わっています。

    そのスミフルの農地では数多くの問題が現地の住民・農家や労働者から告発されています。

    収穫されたバナナは梱包工場で洗浄した後で箱に詰められていきます。その梱包工場労働者らはあまりに過酷な労働環境に声を上げています。

    フィリピンのバナナ生産事業者は自社の土地として所有できる土地には限りがあり、多くの土地は農民からリースで借りている土地や契約農家として独占栽培契約を結んだ農地になります。それら契約書には恐るべき条件がいくつも―。

    映像作品『毒の雨』で紹介されている農園は「スミフル」の高地栽培バナナ農園です。現地では無責任な農薬の空中散布によって農薬が飛散し、「毒の雨」となって降り注ぎます。

  • 【2019年1月15日】

    現地調査報告会を開催します

    実行委員メンバーが現地を訪問し、スミフル労働者の聞き取り調査を行ないました。

    その調査報告会を東京・連合会館にて開催します。

    参加希望者はこちらの詳細・申込ページへ

    http://www.parc-jp.org/freeschool/event/190115.html

  • 工場労働者の搾取

    2018年10月31日18:00ごろ、コンポステラ・バレー州にある「スミフル」の梱包工場340で働く労働者であり、現地の労働組合メンバーであるDanny Boy Bautistaさん(31)が所属不明の男らに銃撃され、4発の銃弾を受けて即死する事件がありました。

    なぜ彼は殺されなくてはならなかったのでしょうか? 彼の殺害にかかわった犯人や動機の特定はされていませんが、周辺情報と合わせて考えると、彼の殺害と労働者らの訴えが無関係ではないように見えてきます。

    11月8日にはDannyさんと同じ労働組合のメンバーJerry Alicanteさんが、所属不明の男に銃撃され、二発の銃弾による負傷を追いました。その数日後にも、他の組合メンバーが所属不明の男らに発砲されたとのことです。
    11月29日深夜には組合代表の住宅が放火されました。そして翌日、放火直後に消火されていることを確認しにきたた男らが再び来て、住宅に向かって8発の銃弾を発砲する事件がありました。
    12月15日には同じ組合代表住宅が再度放火され、同じ敷地内にあった親戚宅および組合事務所まで、今度は全焼してしまいました。
    現地は発砲事件・放火事件が頻発するような地域ではなく、組合員だけが狙われるのには、事件に関連性があることが疑われています。

    「スミフル」がバナナの生産拠点にしているミンダナオ島コンポステラ・バレー州では約2200ヘクタールのバナナ農園が広がっています。そこの9つの梱包工場からは毎日19000箱(約260トン)以上のバナナが出荷されています。

     

    そこでは、しかし、労働者らが低賃金と長時間労働に命がけで抗議の声を上げています。

    <経緯と背景>

     

    ・2008年3月より、コンポステラ・バレー州にあるバナナ梱包工場90の労働者らは労働組合NAMASUFAを設立し、事業者Fresh Banana Agricultural Corporationに対してNAMASUFAを労働者の代表として認め、団体交渉・労働協約の締結を求めました。この要請時点で労働者らは長年勤務しているにも関わらず非正規雇用が継続しており、正規化と労働条件に関する労働協約の締結を労働者らは求めていました

     

    ・2008年6月20日、Fresh Banana Agricultural Corporationは「スミフル」に吸収合併され、名称を「スミフル」で統一しました。伴って、労働者らは「スミフル」に対して改めて団体交渉と労働協約の締結を求めましたが、会社側は請負事業者であるA2Y社との交渉を進めるよう主張しました

     

    ・2008年7月28日、当該地域のフィリピン労働雇用省事務所の仲裁人は「スミフル」とNAMASUFAの間で事実上の労使関係があることを認め(実質的にA2Y社への請負は違法な「偽装請負」にあたると認定)、交渉に応じるように命じました

     

    ・2010年2月8日、フィリピン労働雇用大臣は上記仲裁人の決定を支持し、労働雇用省の最終決定事項として「スミフル」と労働者らに事実上の労使関係を認めた上で団体交渉に応じることを命じました

     

    ・「スミフル」側は控訴裁判所(Court of Appeals)に控訴を試みますが、控訴裁は控訴を無効とし労働雇用省の決定を支持します。

     

    ・「スミフル」は最高裁に控訴しますが、2017年6月7日、最高裁は控訴審および労働雇用省の決定を支持。労働者らを「スミフル」の労働者と認定し、団体交渉に応じることを命じました(2017年6月7日GR No. 202091)

     

    ・伴ってNAMASUFAは団体交渉を要求しますが「スミフル」は応じていません

     

    ・この間に、NAMASUFAには梱包工場90と同様の労働体制にある7つの梱包工場の労働組合と順次合併し、2018年8月9日時点で8つの梱包工場(いずれも「スミフル」系列)の労働者を代表する組合として労働雇用省にも登録しています(NAMASUFA-NAFLU-KMU/No. R1100-0508-UR-248)

     

    ・2018年8月13日、NAMASUFAは再度団体交渉に応じることを要求しますが「スミフル」はそれでも応じません

     

    ・2018年9月4日、NAMASUFAは長期にわたる団体交渉拒否を結社の自由を侵害する行為だとしてストライキを宣告し、労働雇用省に申請手続きをしました

     

    ・2018年10月1日、NAMASUFAの組合員900余名が一斉にストライキを決行し、伴ってそれぞれの梱包工場周辺でピケを張りました

     

    ・2018年10月3日、NAMASUFA参加の梱包工場115でピケを張る労働者らをフィリピン国軍、フィリピン警察に護衛されたストライキに参加していない労働者らが襲撃し、暴行を加えるとともにピケ現場から追い出しました

     

    ・同日、「スミフル」はフィリピン労働雇用大臣へ事態への介入要請をしましたが、その具体的要請内容は公開されておらず、組合にも知らされていません

     

    ・2018年10月4日、NAMASUFA組合員計7名がそれぞれに深夜所属不明の男らに襲撃され、暴行を加えられました

     

    ・2018年10月5日、フィリピン労働雇用大臣は労働者らへの聞き取りをすることなく、フィリピン労働法に基づく介入(Assumption of Jurisdiction)を宣言し、同時にストライキ前と同様の雇用条件を維持して職場に戻るよう復帰命令を出しました。しかし、労働者らはストライキ以前と変わらぬ待遇での雇用継続ではストライキを決行した意義が失われてしまうことから、職場復帰命令を拒否し、労働雇用大臣への再考陳情を行ないました

     

    ・2018年10月11日、ストライキ・ピケを継続していた労働者ら(全7梱包工場)をフィリピン国軍、フィリピン警察と所属不明の男らおよびストライキに参加していない労働者らが襲撃し、暴行を加えるとともにピケ現場から追い出し、27名が負傷しました

     

    ・2018年10月15日付けで、ストライキしていた労働者の下へ請負事業者から懲戒処分に関する通達が送られました。5日以内に書面で問題行動(職場放棄・経営妨害)に対する説明回答を送らなければ弁明の機会を放棄したとみなし、解雇処分が執行される旨が通達されました

     

    ・2018年10月25日、上記通達に沿って懲戒処分が執行され、ストライキ中の労働者ら900余名は一斉解雇されたと思われますが、労働者らに解雇通達は送られていません

     

    ・2018年10月31日18:00ごろ、梱包工場340で働く労働者であり、現地の労働組合メンバーであるDanny Boy Bautistaさん(31)が街中で所属不明の男らに銃撃され、4発の銃弾を受けて即死しました

     

    ・2018年11月11日、同じく組合員であるJerry Alicanteさんが所属不明の男らに襲撃され、腕に2発の銃弾を受けました

     

    ・2018年11月13日同じく組合員である労働者が所属不明の男らに襲撃され、発砲されました

     

    ・2018年11月下旬、NAMASUFA組合員300余名は首都マニラにて大統領及び労働雇用大臣、日本大使館、スミフル本社前にて直訴をするために順次上京

     

    ・2018年11月27日 大統領官邸前メンジョーラ橋周辺などで座り込み等による陳情行動を開始。(2018年12月4-10日世界人権週間。現在もマニラ市内の野外テントを拠点に陳情行動を継続中)

     

    ・2018年11月29日未明、NAMASUFA代表Paul John Dizon氏住宅及びNAMASUFA事務所が放火されました

     

    ・翌朝、消火されていることを確認しにきた所属不明の男らが戻ってきて、ライフルで8発の銃弾を家屋に向かって発砲しました

     

    ・2018年12月4-10日世界人権週間に際して、上京したNAMASUFA労働者らが大統領官邸前メンジョーラ橋周辺などで座り込みによる陳情行動を実施

     

    ・2018年12月15日、NAMASUFA代表Paul John Dizon氏住宅が再度放火され、同敷地内にある親戚宅及びNAMASUFA事務所ともに全焼しました

     

    ・この間にストライキに参加した労働者やその家族らはフィリピン国軍第66歩兵大隊所属の軍人による各戸訪問を受けており、NAMASUFAからの脱退及び、ストライキの中止宣言を求められました。なかには、従わないと「ひどい目に合う」といった脅迫を受けた人もいます

    NAMASUFA労働者らの労働環境

     

    NAMASUFA労働者はなぜそこまで待遇改善を求めるのでしょうか?
    聞き取り調査の中から見えてきた劣悪な労働環境を一部紹介します。

     


    ・労働時間は長いときには一日23時間
    ある梱包工場で働く同僚らは長いときには朝6時半に工場に入り、家に着くのは翌朝6時になることもしばしばあると証言しています。連日の勤務になる場合には一時間足らず休んでまた出勤です。

     

    ・圧縮労働週間制度の適用
    NAMASUFAの労働者らは通常の一日8時間の週5日ないしは6日間の勤務ではなく。週3日ないしは4日間の勤務でその分標準労働時間が12時間に定められています。すなわち労働時間が8時間×5日間=40時間、あるいは8時間×6日間=48時間の時間を12時間×3日間=36時間、あるいは12時間×4日間=48時間に圧縮される制度です。人によってはそのことによって残業代が十分に払われないと証言しており、そうでなくても働ける日数が限られてしまうために収入が減ってしまいます。
    こうした労働時間制度は正規雇用の職員には適用できません。そのため、NAMASUFAの労働者らは正規職員になることで、このような無茶な労働時間にならずにすむのです。

     

    ・薬品から体を守る防具は自腹で
    バナナが日本につくまでの間に黒くなったりしないように、様々な薬品が工場では使われます。しかし、マスクや手袋、エプロンなどの支給が十分ではないことが指摘されています。外部からの監査が入る際には新しいものが支給されるとのことですが、すぐに破れたりしてしまうので、その間労働者らは自分で防具を購入しなければなりません。お金がなければ素手で薬品や刃物を扱うこともあるようです。

     

    ・問題を訴えられない監査
    「スミフル」の梱包工場はISOの経営企画を取得しているために、定期的に外部から監査が入ります。ところが、監査官は現地の言葉が話せないので、「スミフル」の社員が通訳となって労働者からの聞き取りを行なうとのことです。労働者らはこれでは自分たちの発言内容が監査官に伝わっているのかわからず、そもそも「スミフル」社員がいる前では自由に聞き取りに答えることができません。彼ら・彼女らが抱えている問題は監査官に十分に訴えられていないのかもしれません。

     

    ・ギリギリ最低賃金だけど、生きてはいけない
    危険できつい労働を担う労働者らに払われる賃金はギリギリ最低賃金程度に過ぎません。標準労働時間で一日365ペソ(約750円)。残業代は一時間当たり52ペソ(約109円)支払われます。フィリピンの全国水準で生活賃金(家族6名が暮らしていくのに必要とされる賃金)は政府発表で月42000ペソ(約88000円)、一日当たりでは1400ペソ(約2900円)です。しかも、NAMASUFAの労働者らは圧縮労働週間制度が適用されているため、毎日は収入がありません。生活賃金には遠く及ばない金額しか労働者らはもらえていないのです。

     

    ・NAMASUFA労働者に渡るお金はバナナの値段の2%
    NAMASUFA労働者の一部は梱包したバナナの数によって給料が決定される歩合制度で働いています。時給制度になっても賃金自体は大きく変わらないといいますが、支払額は一箱あたり22ペソ(約46円)程度です。一箱には約13.5kgのバナナが梱包され、20~22袋分になります。一袋100円だとNAMASUFA労働者の手元に入るのはその2%にしかならないのです。

    <労働者らへ支援のカンパのお願い>

    労働者らは何ヶ月も仕事がなく、スミフルへの抗議行動を続けています。ぜひ生活と活動を支えるカンパをお願いします。


    下記要項を事務局までお知らせの上、銀行口座にお振り込みください。
    お名前/ご住所/お電話番号/ご支援金額/用途指定寄付(バナナ)であること
     

    カンパ入金口座:

     

    1)ゆうちょ銀行 〇一九支店(019) 当座口座 0163403
    名義: アジア太平洋資料センター

     

    2)郵便振替口座 00160-4-163403 アジア太平洋資料センター

     

    ※寄付に関するお問い合わせ

    特定非営利活動法人 アジア太平洋資料センター(PARC)/担当:田中

    〒101-0063 東京都千代田区神田淡路町1-7-11 東洋ビル3F

    TEL:03-5209-3455

    E-mail:office (@) parc-jp.org

     

  • 農地収奪

    独占栽培契約書から明らかになった「契約農家」の真実―。

    <期間の定めのない契約!?>

    農地のリースや独占栽培契約を結んだ現地住民からは「5年と聞いていたからサインしたのに、あとから20年だと言われた」といった証言が後を絶ちません。実際に農家が受け取った契約書の写しを見てみると、契約期間のところが空白になっています。農家が受け取っているものは写しに過ぎず、会社側が保有している原本にはあとから日付けや期間を変えてしまうことができるのです。

    <読めない契約書>

    英語はフィリピンの公用語の一つですが、フィリピン人農家の多くは十分に読み書きできません。もう一つの公用語であるタガログ語であれば読み書きできますが、英語では内容を十分に理解することができません。にも関わらず、農地に関する契約書は必ずと言っていいほど英語で書かれています。

     

     

     

     

     

     

    <辞められない・止められない>

    契約期間が締結時に定められていないだけでなく、契約書には農家の側が契約を解除する権利は明確に書かれていません。でも、会社側が辞めるための手続きについてははっきりと書いてあります。会社都合ではいつでも契約を辞められるけど、農家の側は選択肢がありません。

    <塩梅は企業の思うままに>

    契約農家となってバナナを生産する農家は、作ったバナナをすべて「スミフル」に納品します。その際の買い取り価格は契約書で定められており、何年の契約であっても容易に変更することはできません。一方で、バナナの生産に必要な肥料や農薬、農具一式はすべて「スミフル」から買うことになっています。多くの場合、買い取り価格は据え置きなのに、農薬の価格はどんどん上がっていきます。バナナ1房あたりの農家の利益分は「スミフル」に握られているのです。

    そのうえ、生産量調整のために、一日当たりに納品できるバナナの量は「スミフル」が決定します。1房あたりの利益が減っても、たくさん売ることで収入を確保することさえできません。農家の財布に入る金額は全方位から「スミフル」に決められているのです。

    そして収入は決して家族が満足に暮らしていけるような額ではありません。

    <「介入」という名の「収奪」>

    収入が少なくても契約が農家の側からは解除できないので、契約農家はバナナを作り続けなければなりません。しかし、病気になったり、怪我をしたり、あるいは仕事に耐えられなくなってストライキをしたりとバナナ生産に支障が生じた場合、「スミフル」は農地に対する「介入」を行なう権利を持ちます。これは農家が栽培できない・しないのを理由に「スミフル」が農家を無視して自分たちで栽培をつづけられる契約へと契約変更するものです。この介入契約が発動すると、土地の利用権は「スミフル」のものになるので、農家は自分の土地なのに自由に使うことができません。事実上土地を奪われてしまうのです。

  • 大地に降り注ぐ『毒の雨』

    制作:IDIS(2015年)/日本語字幕:印鑰智哉